読書が苦手な人に向けた苦手意識を克服する3つの心構え
読書をした方がいいとは色んな人が言っているけど、
「正直、読書って苦手」
「読んでいても面白くない」
と思って、読書に苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は読書好きな僕の考え方を軸に、読書に対する苦手を克服する方法を書いていきたいと思います。
ここに書いてあることを参考にすれば、きっと読書に対しての苦手意識がなくなって、楽しく本を読めるようになりますよ。
▼読書の苦手意識を克服する心構え。
漫画や映画、それにネットと、さまざまな媒体で色々な情報が飛び交っている中、地味で一番時間のかかる読書に対して苦手意識を持ってしまうのも無理はありません。
そこでこの章では、読書の苦手意識を克服する心構えについて書いていきます。
①読書は「楽しむもの」ということ。
まず知っておいてほしいのは読書は「楽しむもの」ということです。
なぜなら読書は勉強ではなく、自分の知らない未知の世界を体験する、いわば旅行と同じようなものだからです。
僕のように小説家になりたいという人であれば、勉強のために読まないといけない本も当然多数あります。
しかし、そうではない人にとって読書はまず第一に娯楽です。
活字を読むことは漫画やアニメを見ることと一緒なのです。
②読んでわからない箇所はわからなくていい。
第二のポイントは、読んでいてわからない所が出てきたら、わからないままでいい、ということです。
先ほども書きましたが、読書は「楽しむもの」。書いている作家は読者を楽しませなければいけない義務があります。
それにも関わらず、読者に「ここは何かわからないなぁ」と思わせてしまったら、それは作家のせいなのです。
そのため、読者はわからないことに対して罪悪感を持つ必要も、調べる必要もありません。
自分がわからない箇所は飛ばして読めばいいんです。
なんと不真面目な……と思う方もいるかもしれませんが、読書の大前提は最初に述べたように「楽しむこと」。
わからない所を一生懸命読んでも面白くないだけで楽しめません。
③名作だろうがなんだろうがつまらないと思ってOK。
三つ目は、名作だろうがなんだろうが、つまらないと思ってOKということです。
ちょっと前にドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」なんかが流行りました。
カラマーゾフの兄弟(上巻)改版 (新潮文庫) [ フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス ]
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ネット上の読んだ人の感想見てると、面白かったと言っている人が多数。
しかし、これって本当に面白いと思ったんですかね?
まず文庫本で三冊という、読書家の僕ですらちょっと尻込みしてしまう長さ。
そして冗長な会話文、時代背景も国も違う物語の世界……。
本当にみんな面白いと思えたんでしょうか?笑
とまぁこんな感じで、有名な名作だと「もしかして僕の頭が悪いからわからないのかな……」と不安になってしまい、面白くなくても面白かったと言ってしまいがちなのが人間の見栄っ張りなところです。
②のポイントにも通じてきますが、あなたが面白くないと思ったらそれは絶対に正しいことなのです。
無理して面白くない小説を読んで、無理して面白かったと言う必要なんてどこにもないんです。
ちなみに当ブログは書評を結構取り扱っていますが、
過去記事に書いている通り、つまらないものはつまらないとはっきりと言っています。
このくらいの気持ちでいいんですよ、読書って。
▼面白い本との出会い方。
ここまでで本を読む心構えを書かせてもらいました。
ここからは「面白い本との出会い方を教えて!」という疑問にお答えする、僕なりの面白い本との出会い方を紹介します。
①本屋さんで表紙、題名が気に入ったものを買う。
さてこれが一番王道な探し方です。
とりあえず本屋をウロウロしてください。
そしたらきっと、
「あ、この題名いいな」
「この表紙のイラストかわいくていいな」
とか、見た目で好きになれる本と出会えるはずです。
そんな風にしてあなたの目に止まった本は、多少なりともあなたの琴線に触れるものなので、きっと面白く読めますよ。
一番ダメなのは「名作って言われてるからこれ読むか」みたいな感じで、それほど自分で興味を持てていないのに何となく選んでしまうこと。
十中八九その本を読んでもあなたは楽しめません。
自分がいいなと思った本を本屋さんで見つけて買うようにしましょう。
②小説を紹介しているメディアや本を参考にする。
次は小説を紹介しているメディアや本を参考にする、ということです。
「さっき自分で決めた方がいいって言ったじゃん」と思う方もいるかもしれませんが、ただ名作だから読もうというのと、紹介を読んで「あ、これ面白そう」と思って買うのでは、似ているようでまったく別の動機です。
僕の書評を参考にしてくれてもいいです笑。
……それはさておき、具体的に僕がおすすめするメディアと本を紹介します。
・作家の読書道
↑リンク。
色んな作家さんたちの作家になったきっかけとか、今までの読書遍歴をインタビュー形式で紹介しているサイト。
色んな作家さんが取り上げられていますが、かなり面白いです。
自分の好きな作家さんが「こんなの読んでました」と言っているのを見るとそれだけで読みたくなってしまいます。
・「文学全集を立ちあげる」
【中古】 文学全集を立ちあげる 文春文庫/丸谷才一,鹿島茂,三浦雅士【著】 【中古】afb
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有名な作家さんと批評家の三人があーだーこーだ言って、世界中の文学を評価して紹介している本。
ちなみに僕はこの本が大好きで、暇さえあればぺらっとめくってその都度楽しんでいます。トイレにいつも持っていくくらい大好きな本です笑
古典的な本に興味がある!っていう人は見ているだけで色んな知識が吸収できる名著です。
▼おまけ:読書を楽しむためのグッズ
最後に読書を楽しむためのグッズを紹介したいと思います。
・読書用デジタルしおり
タイマー:読書用デジタルしおり「mark-my-time」【メール便可¥320】
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僕も愛用している読書用デジタルしおり。
ちなみに実際に買うと写真よりはでかいということだけは認識しておいた方がいいでしょう。
主な用途として、一日どのくらい読書に時間を割いているだとか、一冊読み終わるのにどのくらい時間がかかっているのか、というのを計測するために僕は使っています。
時間を把握して読書時間に必要な時間を逆算して捻出するという感じです。
まぁそこまでしないとしても、単純に「今日何時間読書した!」っていうのがわかるのは単純に達成感があって面白いと思います。
・お風呂で読書ができる「ぷっかぁー」
お風呂に浮くブックスタンド、「ぷっかぁー」。
読書時間を捻出するって結構大変なので、こういうお風呂の時の時間を使って本を読めるというグッズは単純だけどやっぱり便利です。
それにお風呂って長時間入ってこそ健康効果があると言います。読書は長時間のお風呂にぴったりのパートナーと言えるでしょう。
▼まとめ
いかがでしたか?
最後に一番伝えたかった読書に対する心構えをまとめます。
①読書は「楽しむもの」ということ。
②読んでわからない箇所はわからなくていい。
③名作だろうがなんだろうがつまらないと思ってOK。
上記ポイントをおさえて、楽しい読書生活を送りましょう!
【書評】「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」「幸福の探求」の感想
▼「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」太田紫織
櫻子さんの足下には死体が埋まっている [ 太田紫織 ]
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おすすめ度:★★★☆☆
気楽に読めるライトミステリー。
濃厚なミステリーが好きな人には向かない小説。そもそも想定している読者層がそういう人たちではないため、それは致し方がないことだと思う。
内容としては美人な櫻子さんは「骨」が好きで、それが高じて検察みたいなこともできて、事件解決に一役かう、そして主人公の男の子はホームズにくっついているワトソンみたいな立ち位置。
ライトだからといって人が死んでいるのにそこまで驚かない登場人物の冷静さにはさすがに戸惑う。コナンか。
しかし、それに目をつむれば破綻のないエンタメ小説で、櫻子さんのキャラもいい味を出していて、まとまった小説だと思う。
ただし、3つの連作短編という形式だからということもあるが、どうしても浅い印象は受けてしまうのが欠点か。
キャラクター小説であることを考えればよく書けているけど、ミステリーとして読むには浅すぎる、といった感じですかね。
ところどころ北海道の描写がでてくるのは、作者が北海道出身だからか。
こういうところも作品に奥行きが出ていいと思った。
▼「幸福の探求」サミュエル・ジョンソン
幸福の探求 アビシニアの王子ラセラスの物語 (岩波文庫) [ サミュエル・ジョンソン ]
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おすすめ度:★★★★☆
まずタイトルで惹かれた人は読むべきだと思う。
タイトルで惹かれた人には期待通りの内容な小説。
逆にこのタイトルで惹かれない人にとっては大して物語性はない小説なので読む必要はないと最初に言っておきます。
内容としては、幸いの谷という何の不自由もない暮らしのできる国にいる王子が、それじゃつまらん!と言って、「幸福を探求」するために旅に出るお話。
色んな人に出会いながら幸福とはなんだろうということを模索していくところは個人的にすごく面白いが、物語性はなく、そういう対話がメインの小説なので、退屈だと思う人には退屈な小説だとは思うが、
「現在の価値は過去と対比することでわかる」
「幸福が不幸のもと」
などの言葉は結構刺さるものがあって、面白い。
ちなみにこの幸福探求の旅の結論としては、「幸福なんて探求しても意味がない、今を生きよう」という答えに落ち着く。
「私には人生の選択がさほど重大事とは思えなくなった」という言葉は旅の終わりにふさわしい言葉だった。
【書評】「冴えない彼女の育てかた13」「冴えない彼女の育てかたMemorial」の感想
▼「冴えない彼女の育てかた13」
冴えない彼女の育てかた13【電子書籍】[ 丸戸 史明 ]
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おすすめ度:★★★★★
いやー、よかった。面白かった!
これ以上の感想とか書評はないっていうくらい面白かった!
1~12巻はもうすでに1か月くらい前に読み終わっていて、終わってしまうのが何だかもったいなくて、今日になってやっと13巻を読みました。
いやーよかった、何度でも言うけど、よかった。
もうおすすめのライトノベルって何? って聞く人はこの「冴えない彼女の育てかた」を読んでください、と自信をもって勧められる、そんな小説。
シリーズを通して、何がこの小説は面白かったんだろう、と考えるとやっぱりキャラクターの魅力でしょうね。
はっきり言って、文章はうまくない。
ストーリーの展開もそこまで優れているわけではない。
それでもキャラクターの魅力でぐいぐいと読み進められるというか、なんというか、普通に夢中になって全巻読んでしまった。
サイドストーリーも含めたらこのシリーズなんと18巻もあるんですね、数えなおしてびっくり。
でもその巻数を夢中になって読めたのだから、もうこれは面白かったとしか言いようがないでしょう。
ちなみに僕は恵と詩羽先輩が好き。
恵とのラストはニヤニヤしてしまうし、疑似的な恋愛体験と言ってもいいくらい。
本当に今回の恵はすごくかわいい。そりゃ倫也も好きになるわ、っていうか好きになるの遅すぎだわ笑。
もうかわいすぎて読んでいてのたうちまわるくらい笑。
でもこれがラブコメ小説を読む醍醐味だと思うし、結局それが夢中になって読んでしまう要因なんでしょうね。
こういう小説と出会えるのだから読書はやめられない。
あー早く映画も見たい!
▼「冴えない彼女の育てかたMemorial」
冴えない彼女の育てかた Memorial (ファンタジア文庫) [ 丸戸 史明 ]
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おすすめ度:?(まぁファンなら読みましょう)
さて、これは今まで作者が色んなところのおまけで書いていたサイドストーリーを主に集めた本。
あまりに断片的なので正直ファン以外は楽しめないかも。
あとは作者のインタビューもあるけど、これはなかなか面白い。
そして巻末には短いけど後日談てきなエピソードがあって、これもファンとしては面白い。
というわけで冴えカノファンであれば読みましょう、という1冊。
それ以上でもそれ以下でもありません。
【書評】「青春失格男と、ビタースイートキャット。」「アンティゴネー」の感想
▼「青春失格男とビタースイートキャット。」
青春失格男と、ビタースイートキャット。 (ファンタジア文庫) [ 長友 一馬 ]
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おすすめ度:★☆☆☆☆
ただの変態的な話というわけではなく、思春期のアイデンティティを題材にした小説。
ちょっと漫画の「悪の華」に設定が近すぎないだろうか。「悪の華」+「涼宮ハルヒの憂鬱」というような小説。
話としてはほぼアイデンティを失っている主人公が、女の子との「普通ではない関係」によって満たされていくという内容。
そして満たされることによって「普通の世界」からは隔絶されていく。
主人公の存在感はおそらくわざと薄く書いているのだろうと思われるが、それ以外のキャラクターも含めて、どうもうまく利いていない。
またこのような小説を書くにあたっては情景の描写や、くどくなりすぎない内面の葛藤を描くべきで、そこが不足している。
不足しているから、小説の世界観がうまく現れてこず、結局思い出されるのは女の子の脇の下を舐めている情景のみで、作者のもくろみとはおそらくずれている。
女の子の脇の下を舐める光景を見たいだけであればエロ漫画の方がよっぽどいい。
考えるに、まずこの主人公の存在感の希薄さで一人称の小説にしてしまったのが、情景、内面の描写の欠けてしまっている要因だと思う。
ここは致命的な欠点で作品全体が曖昧な印象になってしまっている。
読んだ後に心に刺さるなにかが何もない。
もしかすると作者はシナリオライターということなので、地の文に特別な意識がないのかもしれない。
小説とシナリオは同じように見えて、全然違うものだ。
▼「アンティゴネー」ソポクレース
アンティゴネー【電子書籍】[ ソポクレース ]
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おすすめ度:★☆☆☆☆
つい最近読んだオイディプス王シリーズのオイディプス王が死んだあとの、娘であるアンティゴネーにまつわる後日談的な話。
神に呪われた悲劇的な運命をもったオイディプス王がいなくなったあとの世界は、正直トーンダウンがいなめない。
アンティゴネーが自分のことを「生きているものでも死んでいるものでもない」と言ったところは、はっ、とする一言だったけど、正直面白いと思える箇所がほとんどなかった。
人間の精神的なものは普遍的だけど背景となる時代があまりにも昔すぎてどうしてもピンと来なかった、というのが全体の所感。
ただし、こういうギリシャ悲劇が今の小説の源泉となっているわけで、小説の勉強をしている人は読むべきだと思います。
【書評】「ルバイヤート」「コロノスのオイディプス」の感想
▼「ルバイヤート」オマル・ハイヤーム
ルバイヤート改版 (岩波文庫) [ ウマル・ハイヤーム ]
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おすすめ度:★★★★☆
小説じゃなくて詩集。
マイナーな感じだけど読書メーターの登録数は多かった。なんでだろ? 実は有名なのかな?
で内容はかなり虚無的な思想なものなんだけど、簡単に言えば
「人生の意味なんてどんなに考えてもわからないし、そもそも意味ないだろうから、今を楽しむために酒を飲もう」
という感じの詩が多い。
で、僕にとってよかったのは「土」と「死者」について関連付けて語っている詩。
今構想している小説のイメージと重なって、かなり影響をもらえた。
他の人が読んでどう思うかはわからないけど、僕にとってはおすすめの詩集です。
▼「コロノスのオイディプス」ソポクレス
コロノスのオイディプス【電子書籍】[ ソポクレス ]
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おすすめ度:★★☆☆☆
こちらも小説ではなくて戯曲。
神々から呪われた運命であるオイディプス王が、放浪の末に死に場所を決めるという物語。
前作の「オイディプス王」において、自分の罪を知ったがゆえに、「なにも見たくない」ため目を潰しているため、盲目である。
圧倒的に筋書きは面白い。
これも僕の構想している小説と被るところがあり、色々とアイディアをいただいた。
ただし、僕自身が戯曲を読み慣れておらず、あまり深いところまで読み解くことができず、結局あっさりと読み終わってしまった。
そのためおすすめ度は低め。
ただし筋書きに魅力を感じた人は読んで見てもいいと思います。
【書評】「タイムカプセル」「夜市」の感想
▼「タイムカプセル」折原一
タイムカプセル【電子書籍】[ 折原一 ]
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おすすめ度:★★☆☆☆
最後の方のページが袋とじになっていてそれだけでワクワクさせてくれる小説。
しかし、ただそれだけだった、と言ってしまうとさすがに酷だろうか。
序盤から中盤にかけては先が気になって本当に面白い。
あまり文章がうまくないせいか、ところどころ、「ん?」と思う箇所があったがそれを差し引いても面白い。
しかしこの結末は面白い……のか??
あまりにもラストが微妙すぎる。
たしかに袋とじをハサミで切って開ける瞬間の期待感は半端なかった。
もしかしたらそういう効果を狙った小説だったのかもしれない。もしそうであればその試みは大成功だと思う。
昔、この作者の違う小説を読んだ時も同じような感想を持ったような気がする。
よくわからないがこの作者の持つ「ラストへの期待感を上げさせる」力はかなりのもんだと思う。
本当にラストがすごかったら大作家だったろうに(゜ロ゜)
▼「夜市」恒川光太郎
夜市 (角川ホラー文庫) [ 恒川光太郎 ]
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おすすめ度:★★★☆☆
これがデビュー作でしかも直木賞候補になったらしい。
たしかに不思議な世界観で面白い。
面白いけど、よくまとまりすぎていて、どこか物足りない感じ。
ようは、これ、という欠点はない。
変な話だけどその欠点のなさが作品の世界をまとまりすぎた印象に見せてしまうのか。
小説って難しい。
また文体がかなり整っていることもまとまっている印象に拍車をかけている。
かなり雑念のない静かな文体で、たしかにこういった妖怪みたいなものが出てくる小説には向いているのかもしれない。
しかし、直木賞をとれるかとなると、世界観が狭い気がする。
【書評】「俺を好きなのはお前だけかよ2」「ミリオン・クラウン」の感想
▼「俺を好きなのはお前だけかよ2」
俺を好きなのはお前だけかよ(2)【電子書籍】[ 駱駝 ]
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おすすめ度:★★☆☆☆
以前1巻を読んで意外と面白かったので、2巻も買って読んでみた。
↓1巻を読んだ時の感想記事はこちら。
感想としては、1巻に比べて面白さが下がった気がする。
というのも、主人公の本性みたいなものが炸裂して、しかしすごくいいやつみたいな流れが個人的に面白かったんだけど、2巻になると当然、主人公の本性は既にわかっているため、どこか面白さが薄い。
最後の方の友情劇はベタながら面白かったが、上記の理由のせいか、序盤・中盤がどこかダレてしまっていてどこか微妙だった。
また今回の新キャラの「あすなろ」も何だか微妙。というかちょっと影が薄い。今回の話のメインキャラではあるんだけどね。
この作者の特徴は主人公キャラがしっかり書けている、ということ。
他のラノベ作者は「主人公がただ単にそこに存在しているだけ」になってしまう人が多い。
※↓ちなみに主人公の書き方が致命的に下手くそだと思ったのが、過去に読んだ「可愛ければ変態でも好きになってくれますか?」です。
そんな人たちに比べて小説らしい小説を書いていて好感が持てるんだけど、反対に、主人公キャラ以外を魅力的に書くことが苦手なようだ。
正直、エピローグに新キャラが出て来たけど、一切惹かれなかった。
安易な萌え萌え小説にしないところを見ると、良識のある作家さんだと思うので、続刊ではどんどん面白くなっているのかもしれないが、2巻だけで見るとちょっと辛い感想です。
▼「ミリオン・クラウン」
ミリオン・クラウン1【電子書籍】[ 竜ノ湖 太郎 ]
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おすすめ度:★★☆☆☆
僕は基本的には純文学を中心に読むんだけど、休日はライトノベルを読むことが多い。
っていうのもライトノベルは面白いものは面白いし、やっぱり気楽に読めるっていうのが一番魅力的。
だからたまにジュンク堂とかに行って、ババっとまとめて表紙とか、タイトルの雰囲気で買ったりするんですが、そんな中で買った1冊がこの「ミリオンクラウン」。
少し、ページをめくると衝撃的な事実が!
なんとこの作者、以前読んで「こうばしい」とか悪口を書いた「ラストエンブリオ」の作者だった!!笑(しかもツイッターにこの記事を流したら実作者にいいね!されるという恐ろしさ笑)
しかもしかもこの「ミリオンクラウン」はこうばしい「ラストエンブリオ」の7年前に書かれた作品だという。
これはとんでもない小説を買ってしまった、こうばしすぎてどうにかなってしまうんじゃないだろうか、と思ったものの、読まずに適当な感想ばっかり書くネット民のことを僕は嫌いなので、「よーしっ、かかってこいや!」と言わんばかりの気合を込めて読み始めたのです笑。
で、感想を言うと、「ラストエンブリオ」よりは面白かった。
でもやはり僕には正直ちょっとこうばしすぎる。でもだいぶこの小説に関してはこうばしさはかなり抑えられていた。そのへんが「ラストエンブリオ」よりいい。
ストーリーは、滅亡した日本を舞台にした世界で繰り広げられる人類の戦い。
設定はかなり凝っていて、すごいなぁと思う。
以前読んだ「86」とかと同じタイプの小説。
「86」は面白かった。でも、「ミリオン・クラウン」はやっぱり微妙。
考えるに僕がそこまでこの作者の小説を好きになれないのは人物の掘り下げ方だと思う。
具体的にいうと、登場人物が緻密に作られた世界の中でストーリーを演じているマネキンでしかない。
ストーリーをなぞっているだけ、という印象を読んでいてどうしても感じてしまって、どこか冷める。世界にのめりこむことができない。それは全部登場人物の描き方の問題だろう。
ちなみにどうでもいいけど、「GYaaaaaaa」とかの叫び声の表現の仕方はちょっと他にないのだろうか、と出てくる度に気になってしまう。
転職をして後悔しないのか?|転職をした僕の体験談
転職を考えているけど、本当に今の職場を辞めて後悔しないだろうか? と考えている人多いと思います。
以前、僕は自身の転職活動についてブログに書いていました。
実際に転職活動を終えて、待望のライターという職種につきました。
※↓過去記事はこちら。当時のことは転職カテゴリーを見てもらえればわかると思います。
今現在の職場で働き始めてから、しばらく経ちますが、実際に僕が転職をしてどう思ったのか、という体験談を書いていきたいと思います。
転職に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてくださいね。
▼僕は転職をしてよかったと思っています。
まず、僕の転職をしたうえでの感想を端的に言うと、
「転職をしてよかった」と思っています。
僕の場合は、本当にずっとやりたかった職種につけたわけだし、はっきり言って毎日が以前の職場で働いていた時よりも楽しくて仕方ありません。
以前の職場で僕はそれなりの地位にいて、かつ、自分にとって致命的なほど前職が嫌いだったわけではないので、ブログでは前の職場の悪口とか色々書いていましたが、正直、
「本当に辞めて後悔しないだろうか」
「未経験の業界に行って大丈夫なんだろうか」
という不安は実際に働いてみるまで、常につきまとっていました。
しかし、いざ新しい職場で働いてみると、自分がやりたかったことだけあって、
「なんだか、こんなんで給料もらっちゃっていいのかな?」
と困ってしまうくらい仕事が楽しくて仕方ありません。
前の職場でもやりがいはあったし、やりがいがあるからこそ「楽しい」と思う場面は多々ありました。
それでも、今の職場の方が断然、楽しい!
やっぱり人間はできるだけやりたいことをやって生きていくべきなんだと僕は再認識しました。
▼僕の思う転職をしてはいけない3つのタイプ。
上記の通り、僕の転職活動は一応今のところ成功した、と言えます。
ただし、こんな僕でもどんな人でも今の職場が嫌だったら転職をした方がいい、とは言い切ることはできません。
ネット上には色々な体験談が転がっていて、成功体験と同じくらい失敗体験も転がっています。
そんなわけなので、僕の体験談も踏まえて、こんな人は転職をしてはいけない、という例を書いていきたいと思います。
もし該当する点があれば、ちょっと転職を踏みとどまるべきだと僕は思います。
①仕事をあまり一生懸命やったことがない人。
僕は仕事を一生懸命やったことがない人は転職をしても失敗すると思います。
この一生懸命やったというのは、何も役職が出世したとかの話ではありません。
自分の中で「仕事を一生懸命やった結果、楽しいなという感情が芽生えた」ことがあるかどうかという点です。
なぜならどんな仕事も楽ではないし、一生懸命やらなければどれもこれも面白くないからです。
僕は最初に、今の職場に入って、「こんなんで給料もらっちゃっていいのかな」と書きました。
けれど、それは決して楽だからではありません。
「一生懸命やっている+自分の好きなこと」だからこそ楽しくて仕方ないのです。
だから、反対に、一生懸命がんばって仕事のやりがいを見いだせる人は、どんな会社に転職してもそれなりに後悔せずにやっていけると思います。
②変なプライドのある人。
変なプライドのある人は転職には向かないと思います。
というのも、まず、転職をすると新しい会社で自分は一番下の人間になります。
上司が自分より年齢の低い人だという場面も決して珍しくありません。
また、僕の場合未経験の職種だということもあるのですが、前職のスキルはほぼ通用しないと考えた方がいいでしょう。
これは同じ職種に転職してもそれぞれの会社で結局やり方が違うため、まったく同じように仕事を進められないという意味では同じことだと思います。
上記のような現実は「変なプライド」を持った人にはかなりきついと思います。
よく転職失敗の体験談の中に、
「こんなんじゃなかった」
「自分の理想と違った」
などが見られますが、これは「変なプライド」がゆえに出てくる言葉だと思います。
そのため何も特別なスキルがないのに、自分に自信のある人は転職しても後悔する可能性があると思います。
③与えられた仕事しかできない人。
与えられたことしかできない人も不向きだと思います。
与えられたことしかできない人というのは、結局自分で考えて仕事をしたことがない人で、もっと言えば、仕事関連でしっかりと自立していない人です。
僕が見てきた中だと、自分で考えて仕事のできる人=仕事に対しての考え方が柔軟、でした。
柔軟だからこそ、違う職場に行っても自分の思っていたことと違ったとしても対応ができるのだと思います。
たしかに与えられた仕事を確実にこなすのは仕事の基本です。
ですが、それは入社して間もない人間の最低ラインの話で、ある程度の年齢になったら自分の意思を持っていなければいけません。
この話は①の仕事を一生懸命やったことがない人にもつながってきます。
つまり簡単に言えば、今の仕事を一生懸命やっているのであれば、どの仕事をしてもある程度大丈夫、ということです。
▼転職のデメリット、金銭面も考えよう。
転職のデメリットも当然考えましょう。
色々あると思いますが、一番大きいのは収入面の話です。
ちなみに僕の場合は、年収で100万ほど下がりました。
これを大きいか小さいかと判断するにはもともとの年収によっても変わってくると思いますが、転職によって年収が下がることは珍しくないことだと思います。
ここからは僕の体験談ですが、僕は自分の年収が下がるということを踏まえて、今までのお金の使い方を見直しました。
外で飲み物を買ったり、ちょっとした買い食いだけで、1か月3万円くらい使っていた事実を知った時は驚愕でしたね笑。
また、お昼の外食も高いものばかり食べていたので合わせるとそういった出費だけで月5~6万円はつかっていました。
僕の場合はこれを改善するだけで、年収が下がった分を補填できるくらいの金額にできました。
僕の場合は結構極端だと思いますが、意外と金銭面については、今の生活習慣を見直すと補填できることが多いです。
僕は自分の生活習慣を修正できたので、そういう意味でも転職してよかったな、と思っています。
これを見ている方も転職を機に、自分の生活習慣を見直すことをオススメします。
見直すと意外と金銭面での後悔はなくなるかもしれませんよ。
↓こういう本を読んでみるのもおすすめです。
マンガでまる分かり!1時間で身につくお金の教養 貯まる法則、増える法則 [ 泉正人 ]
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▼まとめ
ここまでで転職をして後悔しないか、ということについて書いてきました。
最後にもう一度、僕の考える転職をして後悔する人をまとめます。
①仕事を一生懸命やったことがない人。
②変なプライドのある人。
③与えられた仕事しかできない人。
自分はこれに当てはまらない!!
という方は安心して転職に踏み切っても大丈夫な可能性が高いと思います。
色々と悩むことが多い転職ですが、自分の人生の転機を楽しんでください!
成功する転職「5%」の法則 プロが教える転職の「真実」 [ 小林毅 ]
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【書評】「イワン・イリッチの死」「残虐記」の感想
▼「イワン・イリッチの死」トルストイ
イワン・イリッチの死改版 (岩波文庫) [ レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ ]
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おすすめ度:★★★☆☆
ロシアの大文豪のトルストイ。
「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」で有名だが、いずれも未読。
ドストエフスキーだって「カラマーゾフの兄弟」と「罪と罰」しか読んでない。一体何をしているんだ俺……。
というのは置いといて、この「イワンイリッチの死」は、世界文学100選にノミネートされているらしい。
たしかにいい小説ではあった。
イワンイリッチという人物が死ぬ前に人生をふりかえって後悔をし、そして思索の結果悟り、清らかな心で死んでいくというストーリー。
なかなか考えさせられるものがあった。
特に人生の楽しかったときを思い返すと子供の頃の情景が浮かんでくるというシーン。
そして、それ以外はすべて偽物だったという苦しみ……辛すぎる。
そう、辛すぎるんだけど「わかる気がする」、と誰しも思うのではないでしょうか。
なんてことない短編だけど、なかなか感慨深いものがあった。
▼「残虐記」桐野夏生
残虐記 (新潮文庫) [ 桐野夏生 ]
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おすすめ度:★★★★☆
10歳の女の子が男に監禁されるという、センセーショナルな題材の小説。
女の子と男の「監禁生活」はなかなか読ませるものがあって面白い。
そしてそして、その後は妄想のストーリーがどんどん展開されていくという、なかなかぶっ飛んだ小説。
作家の想像力みたいなもののすごさをあらためて感じた小説。
「私は自分の夢に閉じ込められたのだ」という言葉が印象に残った。
正直、文章は若干下手な部分が見受けられたがストーリーでぐいぐい読み進められる。
うーん、地味だけどすごいな、この小説は。
【書評】「星の王子さま」「怪談・奇談」の感想
▼「星の王子さま」サンテグジュペリ
星の王子さま (新潮文庫) [ アントアーヌ・ド・サン・テグジュペリ ]
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これは名作。
大人になってこそ読んでほしい素晴らしい小説。
今まで当然「星の王子さま」という名前は知っていたけど、僕みたいに実際に読んだことはないという人が大多数でないかと思う。
そんな人は騙されたと思って読んでみてください。これは童話でありながら大人に向けた本だ。
「大人には必ず説明をしなくてはならない」
「今大切なことで忙しいって、一体何が大切なのか」
「小さい頃に遊んだぬいぐるみは時間をかけているから大切なものになる」
「(花が言った言葉)人間は根がないから風でどこかにいってしまうから大変ね」
色々な言葉がはっ、と何かを気づかせてくれる。
風刺をきかせた場面も多い。
いつも威張っている王様。
なぜその仕事をしているのかわかっていない大人……。
色々と今生きている場面場面の見え方を変えてくれそうな、そんな本。
ちょっと童話だからって舐めていたが、時代を越えて語り継がれる小説にはやっぱり読まれるべき理由がある。
「星の王子さま」おすすめです。
▼「怪談・奇談」ラフガディオハーン
怪談・奇談 (角川文庫) [ ラフカディオ・ハーン(小泉八雲) ]
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作者名は小泉八雲とも言う。
怪談と聞くとただ単に怖い話を思い浮かべてしまうが、意外と哀切な愛の物語が多い。
個人的にはこの手の話が好きなので面白かった。
「雪女」「耳なしほいち」とかの有名な話はやっぱり鉄板的に面白い。
また、妻が死んだ後、忘れないために庭に埋める話とか、輪廻転生して結ばれる話とか、いちいちツボにはまる。
やや話に陳腐な印象を受けるのは多くの作家が模倣したからがゆえでしょう。
1話1話が非常に短いのにもかかわらずこれだけ面白いのは物語の力というのかなんというか。
結構好きな人多そう。おすすめ。
【書評】「濹東綺譚」「よだかの片想い」の感想
▼「濹東綺譚」永井荷風
墨東綺譚改版 (岩波文庫) [ 永井荷風 ]
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おすすめ度:★☆☆☆☆
永井荷風の小説。「ぼくとうきたん」と読む。
永井荷風おぼしき人物が、小説「失踪」を書くネタ探しのために町をうろうろする話。
いや、これ面白いって思う人いるの?笑
まじでなーんにも面白い事がないし、何にもはっとする言葉もない。
それなのに読書メーターの感想を見るとみんな素晴らしい素晴らしいと言っている。
そんな人たちのことを僕は信用しない笑
たしかにこれを面白いと思う人がいるのは認める。でもみんながみんな素晴らしいっておもうはずがない。
おそらく9割方の人がきっと嘘をついている、面白くなかったけど、面白いって言っとかないと自分が文学のわからない人間だと思われてしまう!
そんな感じで面白くなくても面白いと言っていると思う。
話はずれるけど、文学の感想って本当にそういうのが多くて、たとえば「カラマーゾフの兄弟」とか一時期流行った時があったけど、本当にみんな面白いと思ったの?
僕は同じドストエフスキーなら「罪と罰」は面白かったけど、冗長すぎる「カラマーゾフの兄弟」は面白いとは思えなかった。
そう、みんな妙に世間に感想を合わせようとするのだ、特に文学作品については。
でも自分にとって面白くない小説は、何を言われようと面白くないはずなので、そこんところは素直でいいじゃん!と僕は思ったりなんかする。
だから僕はこの濹東綺譚を面白くない!と素直に言います。
でも僕は自分に自信がないので、ちょっと調べてみたら丸谷才一も、「だめな小説だと思う」って言っててほっとした。
▼「よだかの片想い」島本理生
よだかの片想い (集英社文庫) [ 島本理生 ]
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おすすめ度:★★☆☆☆
顔に生まれつきアザのある女の子の恋愛小説。
ある男性との恋愛を通じて、主人公の女の子は成長するという構図。
きれいな話。
きれいな話なんだけど、そのとある男性が結構嫌な男じゃないか!?(・・;)
作中ではきれいに描かれているが、よくよく考えると結構身勝手な男である。
でもまぁ現実でもこういう男の方がもてるんだよなーと思うと変なリアリティがあるのかもしれない。
それに主人公を成長させてくれたのだと考えるとナイスガイである。それはさすがに言い過ぎか。
反対に主人公のことを好きになってくれた男性は良いやつなんだけど、たしかに恋愛対象にいきなりなるかというとならないかもしれない笑。
そのへんも変にリアルだ笑
全体的にまとまっている小説で特に気になるような変なところはない。
ただ、こう何か物足りない感じがするのは小さくまとまりすぎたゆえなのか。
しかし、女性作家が描いた恋愛小説の女性人物のセリフはやっぱりいい。自然だ。
反対に男性人物はどこかきれいすぎる。
男性作家だとそれが、逆になる。
なんだか面白いね。
このブログの約束事。今後書評を書いていくにあたって。
どうも管理人です。
タイトルの通り、このブログをどれだけの人が見てくれているかはわかりませんが今後は書評メインで書いていきたいと思います。
その理由もちょっと、書いていきますね。
▼小説家を目指す上で+にしたいと始めたブログ。
このブログはそもそも、小説家を目指す上で文章を書く習慣をつけたいなーと思って始めたのがそもそものきっかけです。
ただ、僕はライターに転職したため、仕事で「考えて書く」ということはできます。
それを踏まえて考えるとあとは実際に執筆をし続ければいいのですが、いかんせん僕はまだインプットが足りていない。
もっと本を読まないといけない、と考えたわけです。
▼読む時間に割くためブログを書く時間はない。
今まで1日2記事公開したりしてかなりの頻度で更新していたんですが、本を読むことに時間を使うと考えると両立は不可能だと判断しました。
でもブログを完全にやめてしまうのは何だかもったいない。
だから読んだ本の感想を書いていくブログに方向転換しようという考えにいたりました。めちゃくちゃ単純ですけど。
雑記的なこともたまには書こうとは思っていますが、基本は書評メインというスタンスは当分崩さないかな、と考えています。
▼書評記事で必ず心がけたいこと。
このブログで書く書評記事ではひとつ絶対に守りたいと思っていることがあります。
それが、面白くないと思った本についてはどんなに世間で評判が良くても面白くないと言うことです。
書評って人によっては「面白いって言うんだったら読んでみよう」って感じで本を選ぶうえでの目安にする部分があると思うんです。
そんな方が、もし僕が背伸びして面白くもなんともない小説を面白いと評して、それを買ってしまったらどうでしょうか?
……考えたくもありません。
そんなわけで書評に関してはとにかく思ったことをそのまま書くようにします。
信用じゃないですけど、このブログではひとつの約束にしていきたいと思います。
▼まとめ
そんなこんなで今後書評ブログとして運営していくつもりですので、興味のある方は今後ともよろしくお願いします!
【書評】「→ぱすてるぴんく。」「僕が愛したすべての君へ」の感想
▼「→ぱすてるぴんく。」
→ぱすてるぴんく。 (講談社ラノベ文庫) [ 悠寐 ナギ ]
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おすすめ度:★★★☆☆
ライトノベル。
表紙がほんわかしたイラストで、タイトルもなんかそれっぽいので、よくあるキャラクター萌えものなのかなぁ、と思ったら違った。
メインに据えてあるのは、キャラクターではなく、青春の葛藤みたいなもの。
あんまり無理に萌え萌えしてなくて面白かった。
気になる点としては、
・作品全体が落ち着いた現実味のあるトーンなのでスモモが強引に四国から引っ越してきたというエピソードがやや浮いている。
・萌葱印というキャラクターがわりと重要なはずが、存在感が薄い。
・ひとつひとつのエピソードを主人公は深刻にとらえすぎている。渚との過去から今の性格になったという経緯は、さすがに深刻に考えすぎな気がする。
このへんが少し気になったけど、所々、次が気になる引きみたいなのが盛り込まれていたので飽きずに読み進められた。
何かあとがきを読むと2巻が出るそうで、正直この1巻で普通に話は終わっているので、内容によっては蛇足感が半端なさそう。
とりあえず、まぁ結構いい小説で、楽しめました(^-^)v
▼「僕が愛したすべての君へ」
僕が愛したすべての君へ (ハヤカワ文庫JA) [ 乙野四方字 ]
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おすすめ度:★★★★☆
平行世界などのいわゆる、パラレルワールドをテーマにしたSF。
いい話で面白かった。
人は常に平行世界を行き来していて、ちょっとした物忘れとかはそれが原因、という設定は「あーなるほどねぇ」と変に納得してしまった。
ネタバレにならないように感想を書くけど、13の和音が元の世界に戻るときの一言はかなりぐっときて、ちょっと泣きそうになる。
しかし、今の自分の生活とか、そういう当たり前のものに、月並みな言い方になってしまうけど感謝したくなる気持ちにさせてくれる物語。
文体も読みやすく、どんな人も楽しめる小説だと思います。良作。
もうひとつ「君が愛したひとりの僕へ」という関連した小説があるらしく、それも近いうちに読みます!
【書評】「地獄篇三部作」「なんとなくな日々」の感想
▼「地獄篇三部作」大西巨人
【中古】 地獄篇三部作 / 大西 巨人 / 光文社 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】
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タイトルがめちゃくちゃ仰々しい、「神聖喜劇」という小説で有名な大西巨人の作品。
ちなみに僕は「神聖喜劇」もまだ未読。読まないとね。
で、この小説はちょっと変わった構造になっていて、
第一部で、大西巨人とおぼしき、大螺狂人という作家がでてきて、編集部の人間とか、他の作家の話がパロディめいた感じで繰り広げられる。
第二部がその大螺狂人の書いた小説。内容は戦時中がゆえの虚無的思想を持った主人公の悲しい恋愛の話。
そして最後に三部がその小説を見た作家たちが批評をする、という三部構造。
まぁなかなか変わった小説。
第一部の「笑熱地獄」のパロディは正直あまり面白くなかったが、斉藤茂吉の「歌つくりを現世出世の道と思うな」という一言に表象されるトニオクレーゲル的な芸術家小説と読むことができ、そういう意味では結構面白い。
第二部は文体が格調高くて少し読みづらい部分もあり、またちょっとさすがに小説全体が暗すぎるきらいもあるが、ひとつの短編として、これもまたそれなりに面白い。
それにしても他作品の引用がかなり多く、大江健三郎の後期の作品に通じるものを感じるのは気のせいだろうか(書いた年代的に大西巨人の方が先?)。
▼「なんとなくな日々」川上弘美
なんとなくな日々 (新潮文庫) [ 川上弘美 ]
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川上弘美のエッセイ。
タイトル通りなんてことない日常を書いている。
ほんわかした日常に、ほんわかとした思索が心地よく、読んでいてほっこりしてくる良いエッセイ。
この人のすごいところは、なんてことのない日常を書いているのに、まるで小説の世界のようになっていること。
T子さんの話なんてまるでちょっとした短編のようだ。
これは川上弘美の文体のなせる技だと思う。
僕はこの人の文章が好きで、何て言っていいのかわからないけど、力みがない。
小説を書こう!という意識で書いていないんだろう。きっと。
はっきり言って、下手な小説家の書く小説よりも「小説になっている」。
これが実力のある作家か……、と驚かされる。
【書評】中二病の人必見→「僕は模造人間」「伊豆の踊り子」の感想
▼「僕は模造人間」島田雅彦
【中古】 僕は模造人間 / 島田 雅彦 / 新潮社 [文庫]【メール便送料無料】【あす楽対応】
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これは面白い。
いわゆる中二病を扱った、自意識の非常に高い青年を扱った小説。
冒頭からかなり引き込まれた。
ただし、惜しいと思ったのが内容に対して中盤が冗長すぎること。
全体で190ページくらいの小説だけど、もっと短くした方が間違いなくよかった。
「これからは平凡に生きるから許して」
「ふと自分がただの人間であることに気づいたに違いない」
「右足冥土にひっかけて、左足でこの世をまさぐって、おかしなものになっちゃった、夢と現の連結器、一体お前はなんなのさ」
などの言葉は刺さる。
刺さる小説だっただけあって、中盤の冗長さが本当に、惜しい。そのせいで作品のバランスが悪くなってしまった。
わからないけどだから芥川賞の候補になりながら落ちたんじゃないだろうか。
この小説を「中二病必見!」みたいな感じ宣伝して売り出せば今の時代売れるんじゃないか?と思う。
20代になっても少し中二病が抜けない人は読むべき作品。
島田雅彦の作品は初めて読んだけど他のも読みたくなった。
▼「伊豆の踊り子」川端康成
【中古】伊豆の踊り子・温泉宿 他四篇 緑81-1 / 川端康成 作 / 岩波文庫
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ノーベル文学賞受賞作家である川端康成。
お恥ずかしながら「雪国」しか読んだことがない。もっと読まなきゃ……と思って手に取ったのが有名な「伊豆の踊り子」。
「伊豆の踊り子」は読んでもあまりなにも感じなかったけど、収録されている「温泉宿」「抒情歌」「禽獣」は、よかった。
「温泉宿」については娼婦的な女性イメージがなまめかしくて良く、小説を書くアイディア的なものをいただいてしまった。
こういう何かに触発されてアイディアがわくという経験は読書ですごく重要。
また「抒情歌」「禽獣」には死のイメージから「むなしさ」みたいなものを感じた。読み方が合っているかわからないけど。
特に「禽獣」が僕自身、動物が好きなこともあり、なおさら感じることがあった。
両方ともうすらぼんやりと、「むなしさ」が覆い被さっているような短編。
どこかで川端康成が「私の作品はむなしさを扱っているわけではない」と言っていた。
たしかに西洋的なむなしさではない。
ぼんやりとした、むなしさという言葉でいいのかわからないが「独特のうっすらとしたむなしさ」が作品に漂っている。