【書評】「イワン・イリッチの死」「残虐記」の感想
▼「イワン・イリッチの死」トルストイ
イワン・イリッチの死改版 (岩波文庫) [ レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ ]
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おすすめ度:★★★☆☆
ロシアの大文豪のトルストイ。
「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」で有名だが、いずれも未読。
ドストエフスキーだって「カラマーゾフの兄弟」と「罪と罰」しか読んでない。一体何をしているんだ俺……。
というのは置いといて、この「イワンイリッチの死」は、世界文学100選にノミネートされているらしい。
たしかにいい小説ではあった。
イワンイリッチという人物が死ぬ前に人生をふりかえって後悔をし、そして思索の結果悟り、清らかな心で死んでいくというストーリー。
なかなか考えさせられるものがあった。
特に人生の楽しかったときを思い返すと子供の頃の情景が浮かんでくるというシーン。
そして、それ以外はすべて偽物だったという苦しみ……辛すぎる。
そう、辛すぎるんだけど「わかる気がする」、と誰しも思うのではないでしょうか。
なんてことない短編だけど、なかなか感慨深いものがあった。
▼「残虐記」桐野夏生
残虐記 (新潮文庫) [ 桐野夏生 ]
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おすすめ度:★★★★☆
10歳の女の子が男に監禁されるという、センセーショナルな題材の小説。
女の子と男の「監禁生活」はなかなか読ませるものがあって面白い。
そしてそして、その後は妄想のストーリーがどんどん展開されていくという、なかなかぶっ飛んだ小説。
作家の想像力みたいなもののすごさをあらためて感じた小説。
「私は自分の夢に閉じ込められたのだ」という言葉が印象に残った。
正直、文章は若干下手な部分が見受けられたがストーリーでぐいぐい読み進められる。
うーん、地味だけどすごいな、この小説は。