【書評】「ホーンテッドキャンパス 桜の宵の満開の下」「やすらかに今はねむり給え」の感想
▼「ホーンテッドキャンパス 桜の宵の満開の下」櫛木理宇
おすすめ度:★★★☆☆
ホーンテッドキャンパスシリーズの3作目。
簡単にあらすじを説明すると、オカルト研究会、略して「オカ研」に所属している主人公と、そのメンバーが、相談に来た人たちのオカルト的な悩みを解決していく、というもの。
で、主人公は幽霊の霊気とかが見える霊感がある人。
そんな感じのものを背景にして、主人公のヒロインに対する恋愛模様も描かれているシリーズ。
挿し絵とかはないが、かなりライトな雰囲気なので読みやすい。
僕はオカルト的なものが好きなので個人的には好きなシリーズ。
ただ、結構あっさりしているので濃い小説を求めている人には向かないかも。
このシリーズ3作目では主人公とヒロインの距離が大分縮まった来ているような感じで、恋の進展があった回。
何となく、オカルトの話題も男女絡みの話が多かった気がする。
まぁとりあえず、オカルトが好きで、気軽に読める小説を探しているっていう人にはおすすめのシリーズです。
▼「やすらかに今はねむり給え」林京子
おすすめ度:★☆☆☆☆
原爆文学。
小説というよりかは完全に事実をのべていく形式の作品。創作ではない。
原爆被害によって亡くなられた女子生徒たちの報告書に書かれた「不明」の部分を調べ、生きていたときの彼女たちの姿を知り、鎮魂歌としている作品。
そこに話の筋とか、何かの教訓とか、そういうものは一切ないし、必要ないのかもしれない。
これを書いた目的はおそらく普通の小説とは大きく異なり「やすらかに今はねむり給え」と彼女たちに伝えるためのもの。
何度も言うがこれは小説ではなく彼女たちのための「記録」だ。
原爆資料として必要な本で、個人的には好きだが、小説として読むには事実しかないのでおすすめしません。
併録されている「道」の方が小説としてはまだ面白い。