【書評】「八月のシンデレラナイン」「風見夜子の死体見聞」の感想
▼「八月のシンデレラナイン」
八月のシンデレラナイン 北風に揺れる向日葵 (ファミ通文庫) [ Akatsuki ]
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ソーシャルゲームが原作の「八月のシンデレラナイン」。
テーマソングが「世界でいちばん熱い夏」だったりしてて、以前から気になっていたけど、ゲームはしないタチだからどんなもんか知らずにいた。
で、この間本屋に行ったらノベライズされてたので買って読んだわけです。
内容はノベライズってだけあって評価をこの小説単体で考えるものではない。
仮に小説単体で考えるとなると、よくはない。
ゲームが基盤のためか大体の登場人物の存在感が薄い。
また主人公は結構大きな挫折をしているはずだが意外とあっさり立ち直ってしまっている。お前もっと苦しんでたんじゃなかったのかと。
しかし、この小説の役目はあくまで、今シンデレラナインのファンorこれからゲームをやらせるための送客、といった具合だと思うのでまぁ、仕方がない。
いやそれでも話の筋的にラスト付近はさすがに強引さはあるような気がする。
いくらなんでもこの間転校してきたばかりのエレナが急にああいう風な展開になるのはおかしくないか。
あと挿し絵がゲームのものの使い回し?なのかな。
いくらノベライズだと言ってももうちょっと力をいれてほしかった。
▼「風見夜子の死体見聞」半田畔
風見夜子の死体見聞 (富士見L文庫) [ 半田畔 ]
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表紙はラノベっぽいけど挿し絵はない、ライト文芸的な作品。
なかなか面白かった。
まずキャラクターの造形が、ライト文芸だけあって、ライトノベル過ぎないところがいい。
ライトノベルのキャラ造形ってわざとらしい感じが多くて辟易しがち。
この小説についてはライトノベル的でありながらギリギリのところでわざとらしくなっていない。
あとは話の筋としては、未来の死体が見える能力を持った夜子と主人公が、その人が死ぬ運命を回避させ、助ける話。
バタフライエフェクトとか、シュタインズゲートの時間を越えない版と説明するとわかりやすいかもしれない。
話に停滞間がないので飽きずに読み進められた。
うん、この飽きずに読み進められるっていうのはすごく重要。
終わり方は続編を予感させるような感じ。あるのかわからないけど。
キャラもそれなりに魅力的だし、話もきちんと作られている。
エンタメとして面白い小説なんじゃないでしょうか。