【書評】「可愛ければ変態でも好きになってくれますか?」「幼年時代」の感想
▼「可愛ければ変態でも好きになってくれますか?」
可愛ければ変態でも好きになってくれますか? (MF文庫J) [ 花間燈 ]
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もうタイトルで絶対ダメだということはわかっていた。
そしてこれが電撃文庫だったらまだ可能性はあったけど、これはMF文庫。
そうこれは100%ダメなやつだってわかっていた。
わかっていたけど、イラストがかわいくてつい買ってしまった……。
案の定内容は面白くない。というかかなり面白くない。
ひたすら変態嗜好の紋切り型のヒロインを並べられて、しかもただそれだけ。話らしい話もない。
「ほらほらエロいでしょ?」といった具合にエロ本の表紙をよくわからない人にあれやこれやと見せつけられた気分。
そう、キャラクターの描き方も薄いからエロ本でも、中身にまで到達していない。あくまで表紙だ。
もはや主人公なんて一体どんな人物なのかよくわからない。
冒頭もひどい。
いきなり多人数のキャラが書道部の片付けをしている様を見せられて誰が惹き付けられるのだろうか。
本当にどこをどうやって面白いと思えばいいのか。
そしてこれを小説と呼んでいいのだろうか。
ここまでイラストメインのラノベというのも珍しい。
印税はどんな割合になっているのか非常に気になる。
出版社としては表紙さえ可愛くてちょっとエロければ売れるということがわかったのが収穫か。
▼「幼年時代」カロッサ
幼年時代改版 (岩波文庫) [ ハンス・カロッサ ]
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自伝的小説らしい。話らしい話はほぼないと言っていい。
僕もかつて文学にはまりたてのころは「ストーリーとかどうでもいいんだ!文学には!」と思ってたけど大人になるにつれて、ストーリーって大事だなぁと考え直した経緯がある。
なぜなら日常生活とか、個人の悩みとかをあつかった小説には普遍性がないから。
だからストーリーのある谷崎潤一郎とか、ディケンズは今でも読み次がれている。
この小説を100年後読む人がいるかと思うと、疑問。
つまりそういうこと。