【書評】「クロスコネクト」「海と毒薬」「棺に跨がる」を読んでの感想
どうも管理人です。
今日読んだ本の感想をまた書きます。
ラノベって当たり外れでかいよね……
▼「クロスコネクト」
面白いって評判の「クロスコネクト」。
とりあえずイラストが可愛いのは間違いない。
内容はちょっと自分にはきつかった。流行りのゲーム系に君の名はみたいな入れ替わりも加わって、色んな作品の良いところを混ぜた感じ。
こういうゲームの設定、つめりSF的な設定を考えられるという意味では素直に尊敬する。自分にはできないことなので。
ただ、どうにも登場人物に感情移入ができなかった。それは人間の書き方が浅いから。
登場人物に魅力を感じないからストーリーにも没入できなかった。
AIの女の子が登場するが、他の登場人物だってよっぽどAIみたいだと思った。そう考えると人間はしょせんAIのように型にはめられるくらいの存在でしかないということの風刺なのかもしれない、って考えすぎか。
それでもこの「クロスコネクト」は人気があるらしい。ツイッターとか見るとたしかにみんな面白いって言っている。
「ソードアートオンライン」とか未読だけどこんな感じなんでしょうか。そうであれば面白さがわからない僕に問題がある。
とりあえずしつこいようだけどイラストは可愛い。
クロス・コネクト あるいは垂水夕凪の入れ替わり完全ゲーム攻略 (MF文庫J) [ 久追 遥希 ]
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▼「海と毒薬」遠藤周作
遠藤周作の「海と毒薬」。これは名作。
今まで「白い人」「沈黙」「深い河」と遠藤周作を読んできたけど、個人的にこの作家とは合うものがあるみたいで、好き。
宗教的なものを題材にした作品が好きで、芹沢光治良なんかも個人的に好き。
で、この「海と毒薬」はそれほど全面に宗教を押し出してはいないけど、根底にあるのはやはり神の存在。
全体的に何か「むなしさ」を感じさせる内容。
遠藤周作は小説を個人の目線ではなく、多人数の目線で書くことが多い気がする。きっと個人の目線で書いてはいけないと思っていたんだろう。
それにしても、他の遠藤周作の小説にも言えることだけど停滞感がなくて、読んでいて飽きてくるということがない。しかも読みやすい。
これも作家の技術の高さのひとつだと思う。
新潮文庫の夏の100冊に毎回入っているのは伊達じゃない。
海と毒薬改版 (新潮文庫) [ 遠藤周作 ]
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▼「棺に跨がる」西村賢太
西村賢太の「棺に跨がる」。
また西村賢太。最近とにかく読む。そして面白い。
何が面白いかっていうとまず、文体。
古風な文体ながら、ギャグを織りまぜてくるこのギャップ(もしかしたらギャグじゃなくて天然?)。
そして主人公は相変わらずのゲスっぷり。
日本文学で有数のクズ野郎なんじゃないでしょうか。
よく小説の読者は安全地帯から物語に参加したい、という創作教室の言葉があるけど、西村賢太の小説にはそういう面白さがあるんだろうと思う。
普段だったら隠して生きていかないといけない誰もが持っている情けなさだったり、ゲスさを、安全地帯から悠々と参加できる読者。
そういうのが西村賢太の良さなんだろう。
あー、俺はこんなにゲスにはならないようにしよう!という反面教師とも言える。
とりあえず、根がデオドラント気質だったり、スタイリスト気質だったりする貫太に幸あれ。
棺に跨がる (文春文庫) [ 西村賢太 ]
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