【書評】「猟銃・闘牛」「雁」の感想

▼「猟銃・闘牛」井上靖

猟銃／闘牛改版 （新潮文庫） [ 井上靖 ] 価格：529円（税込、送料無料) (2018/7/8時点)

おすすめ度：★★☆☆☆

以前読んだ「あすなろ物語」が良かったから、同じ作者の作品を読んでみた。

↓その時の書評はこちら。

www.akuryou.work

でも、この「猟銃」と「闘牛」に関しては、全然面白くなかった。

いや、面白くないというか、小説としてよくできているのはわかる。

でもさすがに無思想すぎないか……？

同じ井上靖の「氷壁」を読んだ時も感じたことだけど、

氷壁改版 （新潮文庫） [ 井上靖 ] 価格：907円（税込、送料無料) (2018/7/8時点)

とにかく物語がただただそこにあるだけという風にしか読めない。

しかもその物語がすごく楽しければそれでいいと思うけど、そこだけは文学らしく、物語の面白さは希薄。

中間小説っぽいと言えば聞こえはいいけど、何もなさすぎてつまらない。

本来ならおすすめ度星１つだったんですが、併録されている「比良のシャクナゲ」はよかった。

研究に没頭するあまりすべてを犠牲にしている人間が描かれた小説だが、いわゆる芸術家小説的な感じでこれは面白かった。

自分の書いた本が古本屋に積まれている光景を想像してやりきれない気持ちになるシーンがいい。

なんの分野でもそうだけど、何かひとつのことにとらわれた人間に待っている道は虚しさしかないのかもしれない、とこういう小説を読むといつも思う。

▼「雁」森鴎外

雁改版 （岩波文庫） [ 森鴎外 ] 価格：540円（税込、送料無料) (2018/7/8時点)

おすすめ度：★☆☆☆☆

冒頭の隣人との金瓶梅を貸し借りしようぜ、というくだりあたりが面白くて、これはいいのでは？　と期待して読んでいたら……うーんやっぱり違うなぁというのが最終的な感想。

お玉が胸をおしつけてくるシーンとかもあって、とりあえずお玉がかわいい。

個人的にはお玉とか岡田くんの心理描写をもっと深く書く形式で描いてくれたらもっと面白く読めたのになぁと大文豪の森鴎外に対して文句を言ってみる笑。