僕の頭の中の悪霊~作家志望の雑記ブログ~

小説家になりたい人の書評メインのブログ。小説の創作論や、漫画アニメのサブカル、箱根駅伝のことなども語ります。

【書評】「フルハウス」「委員長、さっきトイレでオナってたでしょ?」の感想

▼「フルハウス」柳美里

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

フルハウス 【電子書籍】[ 柳美里 ]
価格:420円 (2018/5/16時点)


 


昔、NHKでやっていたフルハウスではない。

最近のほほんとした小説ばかり読んでいたので久しぶりにピリピリした小説を読んだ。

 

内容はホラー小説のさながらの雰囲気。異常な父親や、父親が住ませたホームレスのような連中などが登場し、緊張感がある。

妹がポルノちっくな映画に出ているのもなかなかショッキング。

 

はっきりいって物語らしい物語は、ない。

何かのメッセージというよりも、叙述全体を通して言葉にできない「暗い何か」を浮かび上がらせている。

昔、こういう小説読んだなぁと思って考えてみると、中上健次の「岬」だった。

そういえば文体も少し似ているような気がする。

バシッ、バシッという感じの文章というか。僕としてはこの手の文体は苦手で、頭に入ってきづらい。中上健次も頭に入ってこなくて読むのに時間がかかる。

 

この作品で泉鏡花文学賞を受賞しているそうで、たしかに無気味な家族をある意味幻想的に作っていて、異様な世界観がここにはある。

この感じは影響を受けた。うん、こういう風に書けるのはすごくいい。

 

併録の「もやし」については個人的によくわからなかった。

「フルハウス」も少しそうだったが、小説の締め方がややわざとらしい気がする。

 

 ▼「委員長、さっきトイレでオナってたでしょ?」

 

なんとエロ漫画である。

エロ漫画の前に紹介された柳美里はいったいどんな気分なんだろう。

内容はまぁ、タイトル通りのもので、よくあるハーレムもの。半端なく主人公はモテる。

タイトルと表紙は委員長だが、個人的に好きなのはヤンキー的な見た目の女の子。純粋でかわいい。

 

なんでいきなりこの本を紹介したかっていうと単純に絵が好きだから。

ヤンキー的な女の子がとにかくかわいいのでおすすめする。

エロ漫画に物語はいらない。とにかく絵がかわいければそれでいいんだ。

 

でもエロ漫画っていうのはむかーしから続く正統な文化で春画とかが今は大事な芸術品扱いを受けているのを考えると、1000年後には今この世の中にあるエロ漫画はすべて文化扱いになるのかもしれない。

 

太古の昔から人は物語ることが好きだったと思うが、物語的なものの本当の元祖はエロ的なものだと思う。

昔の人からしたらまさか精巧なイラストでエロ的なものを表現するとは思ってもみなかっただろう。

文学や哲学に触れて高尚な気分になるよりも、エロ漫画を読んでいる方がよっぽど高尚なのかもしれない。